
佐藤可士和さんという有名なデザイナーがいます。
クリエイティブの世界では一目置かれた存在。
ユニクロのブランディングやビール、大学のマークなどの開発をしています。携帯電話などのプロダクトデザインもされています。
こんばんは、蒼井です。
その佐藤可士和さんが“ウイダーinゼリー”という、栄養補給食品のブランディングを担当されました。
その企画は、結果として売上が伸びなかったということで失敗に終わったという評価がなされているようです。
“弘法にも筆の誤り” があることもあります。
“猿も木から落ちる” こともあるでしょう。
“カッパの川流れ” カッパでも溺れることもあるかもしれません。
マーケティングやプロモーションに、絶対確実に成果が上がるという“絶対解”はありません。
保証なんてできない。
だから最適な結果を出すためにできる限りの最大の努力をおこなうわけです。
佐藤可士和氏を責めることはできても、結果が出なかったので今回のブランディングの費用を払わない、ということはありません。
成果報酬型広告であるアフィリエイト比べると、いいですね。
アフィリエイトは結果こそがすべて。
とにかく、絶対的な正解がないから、限りなく効果が上がる方法を求めて試行錯誤を続けていく。リアルビジネスでも、アフィリエイトビジネスも、然りです。
最大限の結果を出すために、考え方の作法(フレームワーク)というものが存在します。
私が実務で使っているものですが、副業として提案する成果報酬型広告としてのアフィリエイトにも応用できる作法です。
今回のリニューアルのコンセプトでこけてしまった、ウイダーinゼリーを素材にご説明します。
もともとこの商品は、アスリート向けの栄養補給商品でした。
スポーツをする人の、スポーツ時の栄養補給を助ける食べ物。
しかし当初は思惑通りの売上が上がりませんでした。
(今回のリニューアルのだいぶ昔の話です。ローンチ(市場に出すという意味です)してしばらくたってからの話です)
アスリート向けの市場というのは一般生活者向けの商品と比べると、とても小さなものです。スポーツ選手や、部活動をしている学生、スポーツ愛好家などです。
身近にたくさんいそうですが、市場規模としては一般的な食品と比べるとかなり限定的で小さな市場です。
買える場所(売場)も、スポーツ用品店だったり、ドラッグストアなど、アスリート向けの“買い場”に限られていました。
そこでメーカーさんは考えました。
“コンセプト”を変えよう。
どんな商品やサービス、ビジネスにもコンセプトが必要ですし、コンセプトが存在しています。コンセプトがあいまいな商品は、売れません。
そのコンセプトは、どんな商品でもサービスでも3つ要素で定義することができます。
① ターゲット(利用していただきたいお客さまは誰か?)
② 利用シーン(どんな時、使ってもらいたいか?)
③ 便益(その商品やサービスのメリットから得られる価値、ベネフィットは何か?)
ここで少し補足を。
便益とはベネフィットで、メリットとは違います。よくここを混同して使っている方がいますが、ここをはっきりさせることで、伝える価値の見つけ方が明確になります。SEO対策のキーワードを探す時にも役立ちます。ぜひご理解をしてください。
メリットは商品そのものの機能の優れているという事実。ファクトのことです。静的なもの。
ベネフィット(便益)は、その機能、メリットによって得られる価値、その価値から拡がる世界観などを言います。拡がり感がある動的なものです。
例えば、新幹線。
メリットは
早く安全に静かに移動できる便利な移動手段。
ベネフィットは
静かに早く目的地につくので、疲れないし朝からTDLでたくさん遊べて、楽しい旅行になる(そんな旅を提供する価値ツール)。
シャープペンシル
メリットは、押すだけで同じ太さの心が出る。
ベネフィットは、常に同じ太さで、きれいな字がかけて気持ちいいし、几帳面な人だと評価される。
ベネフィット(便益)を考えるには、お客さまがそれを利用することの喜びやそれから拡がる世界観を想像することが必要です。
話を戻しますね。
コンセプトは先ほどの3つの要素で定義されます。
① ターゲット(利用していただきたいお客さまは誰か?)
② 利用シーン(どんな時、使ってもらいたいか?)
③ 便益(その商品やサービスのメリットから得られる価値=ベネフィットは何か?)
ここでウイダーinゼリーの現在の新しいコンセプトを当てはめてみます。
① ターゲット アスリートから→忙しいビジネスマン・ビジネスウーマン
② 利用シーン スポーツ時の食事から→時間がない時、仕事や移動で忙しい時の食事
③ 便益 素早い栄養補給→ある程度の栄養が担保された食事をパッ!と済ませ時間を他のことに有効に使える、商談に間に合った、 時短価値商品。
この3つの要素を端的に圧縮し、拡がるコトバに置き換えると、
“10秒メシ“
というコンセプトができあがったわけです。
アスリート向けの栄養補給食品から、
忙しいビジネスマン・ビジネスウーマンのための食事というものに、提供価値を変えたのです。
“10秒メシ”
このコンセプトに律して、広告クリエイティブや売場が開発されます。
CMは、スーツを着て自転車にのった木村拓哉さんが、パウチ加工された容器をムギューと片手で握りつぶして飲む。
売場は、まずはビジネスマン・ビジネスウーマンの朝食のために、コンビニを重点的に攻める(その後スーパーへ拡げていきます)。
もともと、アスリート向けという、小さくてクローズドなマーケットに向けた商品でしたが、コンセプトを変えることで大きくシェアを伸ばしました。
このようにコンセプトは、感覚的にエイヤー!でつくるキャッチフレーズ的なものではありません。
ターゲットを決めて、
利用シーンを定義して、
提供できる価値を決める。
この3つの要素をまとめて、シンプルな一言に凝縮する。
これがコンセプトなのです。
あとはこのコンセプトに律して、
どんな広告をつくるか?
どこで売るべきか?
を決めていくわけです。
コンセプトがすべてを律していきます。
長くなるので、
あなたのビジネスのコンセプト(テーマ)を決める3つの質問 その2に続きます。
その2では、3つの質問フォーマットも公開しています。
副業のコンセプトづくりや、本業にもお役立てください。