温泉旅館の女将さんから聞いた不思議な話  

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先日、月に一度のコンサルティングで入っている老舗温泉旅館の女将さんと、
その旅館の若手スタッフから聞いた話です。
朝から夕方まで丸1日のコンサルティングの楽しみ、
旅館の昼食をいただきながらのたわいもない話です。

こんにちは、蒼井です。

私がコンサルティングに入っている旅館のある温泉街は
中国地方の山間の、決して大きくはない温泉街です。
大小50弱の旅館があります。

温泉観光地は、際立った特徴がない限り、
一般のお客さまから名指しで目指して行くことは、まずありえません。
ここもご多分に漏れない、そんなどこにでもある、温泉街です。
強いて言えば、川辺に整備された露天風呂がある。
その程度のものです。

その温泉の源泉は1箇所です。
1箇所で汲みあげた温泉のお湯を
すべての旅館にパイプラインで配湯しているそうです。
(アルカリ性が強いのが特徴とのこと)

だからこの温泉街であれば、
どこの旅館のお風呂に入っても
泉質はすべて同じなわけです。
同じお湯です。

ところが、女将さんと若手のスタッフが口を揃えて言うには、
「〇〇旅館のお風呂に入ると肌がツルンツルンになるわ」
「☐☐旅館は、そこまでつるつるにならない。ちょっとキツイ感じ!」
「☓☓は特に、ふろ上がりのカラダの火照りが続くのが長いわ」
 など、”旅館によってお湯違う”ということをしきりに語るのです。

人が異なれば、
当然感じ方は違います。
しかし、
この場合は人は同一だけど、
入る旅館のお風呂ごとにお湯が違うというのです。

唯一、温泉街にある1箇所の源泉から組みあげた同じお湯なので
度の旅館も泉質は当然、同じです。
旅館によって特にアルカリ性を高めたり、
湧水を足したり、
ハーブなどを浸したりしている訳ではありません。
距離が離れることで、若干温度は下がるかもしれません。
でも、その程度です。

なのに、旅館によってお湯に明らかな違い、特徴が出ている。

異なる源泉を持つ旅館が点在し、
異なる泉質のお風呂を巡ることを、
商品価値として強みにしている温泉街もあります。
そんな温泉街であれば旅館によってお湯は違って当然です。
むしろはっきりと、違わなければならない。

でも、この温泉街の源泉は1箇所なので
旅館によってお湯が変わることは、ない。
当然、お湯自体になにも手を加えていない。
でも、旅館ごとに入ると感じる質感が違う。

なぜそうなるのか?

ある程度ビジネス感覚のある方にとって、
この答えは極めて簡単です。

温泉、特に旅館のお風呂に入るという行為には、
前後のストーリー(コンテキスト・文脈)が潤沢にあります。

旅館についた時の門構えの印象、
フロントの受付の着物の女性の笑顔や、
部屋に案内してくれる仲居さんとの他愛もない話。
そして老舗の定番作法、女将さんが各部屋をまわってのあいさつ、
さらに旅館のもっている伝統や歴史、風格など・・・・・

旅館によってそれぞれ、まったく異なるストーリー、コンテンツを持っています。

泉質はまったく同じでも、
この、”お湯に至るストーリー(コンテキスト・文脈)”が、泉質の体感を変えているのです。

ストーリー=コンテキスト(文脈)が、温泉の泉質を変えてしまうということです。

このことは私たちがネットビジネスを行う上で
とても貴重な二つの視点を与えてくれます。

ひとつ目は、
成功しているセースルシートやメールマガジン、ブログのコンテンツを
単にまねても同じだけの効果は期待できない。ということ。

二つ目はその反面
レベルが同じ(あるいはレベルの差があったとしても)、
コンテキスト(文脈)すなわち、物語、ストーリーをきっちり描くことで
まったく別物レベルの大きな価値をつけることができる可能性がある。ということ。

前者は、ネットビジネスを学ぶ姿勢に役立ちます
後者は、ネットビジネスにおける自分のブランディング形成に資する貴重なヒントを与えてくれます。

ひとつ目からお話ししましょう。

例えば、
レスポンスが高くて、お客さまの信頼が獲得できるセールスレターや
ブログのコンテンツをテンプレートに沿って“単にマネるだけ”ではダメです。
(極めて、とても当り前なのですが)

一度自分の腹の中に入れて、
消化されて自分のカラダの一部になったと思うくらい、
それから自分のコトバやフレーズとして書き出すことで、
(たとえそれがたどたどしい文章であっても)
あなただけの香り(というよりむしろ匂い)を放つメッセージになります。

あなた独自の匂いに
読む人は納得し、
心を揺さぶられるわけです。

お腹の中で消化しないうちに、
“単なるマネ”、コトバじりを変えたり、
前後の行を入れ替えたり、
表面的なレトリック(ライティングテクニック)をちりばめても、
読む人には、刺さりません。

文章のテクニックを磨くよりも前に、
自分のお腹の中に落とし込んでから、
自分のコトバとして出す(自分の匂いを醸し出す)という流れをつくることに
チカラを注いでください。

その際に、“いつも読む方のために”という視点があれば、
小手先のテクニックで即席的なブログなんかには、絶対負けない文章になります。

それができた上で、様々なレトリック(ライティング技術)を学べば
効果は加速度的に高まります。

同じものでも、
それを提供する旅館によって変わってくる。

女子に人気の老舗旅館で使っているお湯と
同じ源泉のお湯を使っているからといって、
ただ単に温泉にお湯を張っているだけの旅館のお風呂では、
お客さまの心を動かすことはできないということです。

二つ目の要諦は
同じものでも、コンテキスト(文脈)、ストーリーを描くことで、
大きく価値が変えられる。
ということです。

例えばスーパーで売っているきゅうりを例にとりましょう。
多少の差こそあれ、キューリの味が大きく変わることはありません。

そのきゅうりを大切につくった
農家のおばちゃんの顔や想いが情報として入ると
ただのきゅうりも味が変わります。

先代が苦労して開墾した畑に、
農薬を使わないでおいしいきゅうりを作って、
都会の人に食べてもらいたい。
そんな先代の想いを今もおばあちゃんは引き継いで作っている・・・・・
その思いをPOP(店頭広告)やシールに描いて伝える。

トレーサビリティ(産地表示)に敏感な方は、
それが大きな価値ですし、
どっちでも大差はないや、たかがきゅうりだぜと、
おつかいを頼まれたお父さんも
そんなストーリーに心を動かされます。
その“おばあちゃんのきゅうり”の選択理由がはっきりし、
ブランド価値をあげることができるのです。

映画にもなった「奇跡のリンゴ」も同じです。
リンゴの下には太いコンテキスト(文脈)が宿っています。

子どものころ、
茶碗に一粒でもご飯粒を残したら、
「一粒のお米を作るのに1年かかる」と良く親父に言われました。
子どもの小さな胸の中で、
ご飯粒は、苦労の結晶に変わるわけです。
(私は今でもご飯粒は一粒も残しません。)

そうやってモノの価値を高め、
選ぶ理由を与える。
なおかつ販売価格までもあげて高い利益をあげている商品は
枚挙にいとまがありません。

誰でも名前だけは良く知っている“あの商品”にも
このテクニックが消費者のレーダーの下を潜るように
当たり前に巧妙に忍ばされています。

このようにコンテキスト(文脈)=ストーリーを描くことは、
同じレベルであれば選択する理由を提供するし、
商品の売価までもコントロールすることが可能なのです。

温泉のお湯という物理的には同一の液体でも、
その前後のコンテキスト(文脈)を描くことで、
その違いや価値を大きく変えることができる。

一箇所からくみ上げてどこも同じお湯が配湯される温泉街で、
旅館で異なるお湯の秘密、
この答えはまだ女将さんにはお話ししていません。

私たちがネットビジネスの視点で応用できることは、
こんな女将さんと、昼下がりのたわいもない話から紡ぎだすこともできるのです。

そんな視点で物事を見ることをすると、
新たな気付きや、ブログネタが簡単に見つかります。

最後まで読んでいただいた方は きっといかしたセンスをお持ちです。
ありがとうございました。

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